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2005.11.29

Goodbye MD, seriously.

最近、最後のDATレコーダー(デジタル・オーディオ・テープ・レコーダー)の発売中止が発表された。
AV WATCH: ソニー、DAT製品の国内出荷を終了
その一方で、そろそろMDにも終わりが見えてきたかもしれない。

共同通信(via Yahoo! News)は「ミニディスクの需要25%減 iPodに市場奪われる」と伝えている。
海外ではまったく人気のないMDプレーヤーは、やはり日本が売り上げの8割強を占めているようだが、iPodやソニーなど国内メーカーも発売を始めたデジタルオーディオプレーヤー(DAP)に取って代わられている、と言う。

でも、今の「携帯型デジタルオーディオプレーヤー」では本当の「Goodbye MD」はできないと、主張するのがトランステクノロジー(長瀬産業株式会社)、今日、都内でかなり力のこもった発表会が開催された。

発表会でトランステクノロジーの平塚氏は、まずMDプレーヤーのパソコン所有率は28%という同社の調査報告を発表した。

iPodなどのDAPは、パソコンから楽曲転送をするのが基本、つまりパソコンを持っていないMDユーザー(全MDユーザーの72%)はそのままでは移行ができないと力説する。

でも、共同通信のニュースによれば「MDからDAPへの移行は進んでいるのでは?」と思う人も多かろう。
だが、平塚氏は、DAPの利用者は男性が中心(86%)で、30-39歳、20-29歳の次に40-49歳とやや高めの年齢層に偏っている、と指摘する。

これに対してMDのユーザー層は20-29歳が一番多く、その次が30-39歳、そして3番目は19歳以下とやや若い年齢層に偏っているというーーつまり、ここにまだGoodbye MDと言い切れない大きなセグメントがあるということだ。
 典型的な例をあげると、高校生や入社仕立てのOLなどはパソコンを持っておらず、MDの利用が中心、ということだろうか。

 いずれにせよ、同社がこれらのマーケティング調査を経て開発したのが「TRANSGEAR HMP-100」。
「Goodbye PC」を唱うパソコン不要のDAPだ。

アナログレコードやCD、MDなどとライン接続して音楽を取り込め、そのまま持ち出せるというハードディスク内蔵DAPだ。

HMP-100
【Transgear HMP-100】12月10日発売。オープン価格(直販価格:2万9400円)。GKインダストリアルデザインはいいけれど、ちょっと文字とか多すぎ?でも、デザイン携帯よりも、見てくれだけのややダサくらいの携帯電話が売れる状況を考えると、これくらいのデザインの方が買いやすい!?


平塚氏は2006年以降、PCレスのDAPが増え始めると語る(の割に出荷台数は10ヶ月で5〜6万台と控えめ)。
実際、PCレスを唱う製品はTransgearが初めてではない、という。
エレコムやパナソニック、ソニー製の家庭用デジタルコンポも紹介した。

しかし、これらの製品は:


  • 曲名などが表示されない
  • イーサネットを通してインターネット接続が必要

のどちらかの問題を抱えているという。

曲名が表示されないと、曲が貯まるにつれ不自由さが増してくることが容易に想像できる。

一方、イーサネットが家庭にあるのはパソコンユーザー。
パソコンを持っていないのにイーサネットだけあるというのは、他の条件に惹かれてインターネット対応マンションに入居してしまった人などごく稀なケースだけだろう。

パソコンがない(=イーサネットもない)環境で、ちゃんと曲名を表示できるようにしたのが、先のTransgearだ。
 これを実現するにあたって米Gracenote社の組み込み型Music IDという技術が使われている。
 現在、auの一部の携帯電話は、曲を聴かせると曲名などを表示してくれる曲認識サービスに対応している。ここで使われているのがMusic IDだ。
 ただし、TransGearではインターネット接続ができない状況でも曲認識をできるようにするため、曲認識に必要な曲のフィンガープリント(指紋)データーをハードディスク上に持っている。

6GBのプレーヤーには約650MB、350万曲分の楽曲のフィンガープリント(指紋)情報が入っており、これから発売される新譜は携帯電話をつないで通信させることで認識できるようになっている。

 このように徹底的にPC無しでの利用にこだわっている(もっとも、実はPCとつなぐこともできるようだ)。

 デモでは曲の認識にそれなりに時間がかかっていた。それだけに使っていない間にまとめて認識させたりできるのかが気になるところだ。
 実機をじっくり試したわけではないので、ちゃんとした評価は下せないが、非パソコン所有のMDユーザーはこの製品をどう受け取るのか気になるところだ。

 ちなみに工業デザインを(株)GKインダストリアルデザインが手掛けるなど、発表会だけでなく、製品開発にもそれなりに力がこもっているようだ。設計と生産を行う香港のPerception Digital社は、今後は長瀬産業を通して、組み込み型Music IDプレーヤーのリファレンス基板の販売やSDK提供も行っていく、という。

 パソコンにつながらないということは、当然、Podcastにも対応していなければ、オーディオブックも楽しめない、音楽専用プレーヤーということになる。

 とはいえ、たしかにMDは持っているけれど、パソコンは持っていない、という層はそれなりに大きそうだ。


 トランステクノロジー社のミッションがそういった層に、パソコン不要のDAPを広げことだとしたら、アップルのミッションは何だろう?

それは、DAPをきっかけにパソコンの売り上げにつなげることだろう。

 そもそもiPod開発のきっかけになった「デジタルライフスタイル戦略」は、「パソコンの時代は終わった」といわれていた2001年に「パソコンの21世紀の使い方」として提案されたものだ。パソコンを使うことの楽しさ、便利さを再認識させるために開発されたもの、といっても過言ではない。

 Apple Store Ginza1階のiPodコーナーではiPodのアクセサリーの1つとしてMac miniが売られている。
 iPod nano+Mac miniをまとめて買うと(さらにこれにCRTなども買うと)、TransGearより高価になるが、それに見合う楽しみが十分訴えられればアップルの勝ちだ。いや、高校生や若手OLとなると、それでも経済的に苦しいかもしれないので、やはり導入価格の圧縮は必要なのかも。

 そこで思いついたんだけれど、Mac miniをテレビ接続可能にする、というのはどうだろう。
 テレビをモニター代わりに使って、無理すればアプリケーションも動くけれど、基本はFront Rowの画面になっている。

 あとでパソコン機能が必要になったら、キーボードとマウス、そしてもうちょっと文字が読みやすい液晶ディスプレイを別途購入すればいい(もっとも、今時だとそもそも自宅のテレビがVGA端子付き液晶テレビ、ということも多そうだが...)。
 どうせなら、iTunes Music Storeでも、リモコンで曲を買えるようにして欲しい。(iTMSの1-Clickならそれも可能だと思う)。

 もっとも、それをやってしまうとパソコンの楽しさ、便利さを知ってもらう、という本来の目的にはつながらないのかな!?

 なんだか話が横道にずれてしまった。

 いずれにせよ2005〜2006年は、「Digital 1.0」とでも言うべき第1世代のデジタル製品(DATやMD)が最期を迎える時期になりそうだ。

 となると、今風にいうとDAP 2.0の時代?

 DAP 1.0で、最期まで頑張るのはおそらくCDだろうけれど、私個人は既にCDからiTMSへ、ほぼ完璧に移行してしまった。iTMSで買えない楽曲があるのは残念だけれど、それはそれで仕方がない、という感じ。
 どうしても聴きたいような超マイナーな楽曲はそもそもCDとしても高価で取り寄せに時間がかかるなど、途中で買う気を失せさせる障壁が多すぎる(本当はそういう曲こそiTMSで買えるようになって欲しいところ)。

Transgeapにはオーディオプレーヤーというよりも、むしろ耳にした曲を内蔵マイクで録音し、それが何の曲だかを調べさせる装置として興味を示している(もっとも、それをやるにはかなりいい条件で録音できないとダメだろうと平塚氏は言っていた)。

これまでオーディオプレーヤーは、iPodの後追い的なものが中心だったけれど、最近になってようやくユニークさを備えた、本当の競合製品(あるいは共存製品)と思えるものが出始めてきた。

 つい先日も某所にてソニー(株)クリエイティブセンターのFineDesignプロジェクトが開発した音楽プレーヤーのプロトタイプ数種類を見てきた(DesignTideで披露されていたもので、いくつかは最新号のAXISでも紹介されている)。携帯型の製品ではないし、そもそも自分で所有できる製品かどうかはわからないけれど、あれはあれでおもしろいので、ぜひとも製品化されることを望んでしまうーーiPodは人と音楽のつきあい方を大きく変えたと思うけれど、このつきあい方はまだまだ大きく変えられる、というか広げられると思う。

progress_bar02
【Progress Bar】手前の部分をスライドさせると、スライドさせた量に応じた量(時間)の音楽がランダム選曲され再生される(バーは曲を再生しながら少しづつ元の状態に戻っていく)。ちょっと大型オルゴール的で楽しい。


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11月 29, 2005 音楽 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2005.11.27

irvierはターゲットを間違っている(かも?)

iPodに対抗して安価かつカラフルな音楽プレーヤーを次々と発売するiriver社。
Apple Storeもある渋谷にも、目立たない通りにひっそりと直販ショップを構えているのはいいのですが、最近、同社はターゲットを変えた方が成功するんじゃないかと思い始めています。

実際に使ったことはないので、ちゃんと評価はできませんが、最近、「T30」か「T10」をICレコーダー代わりに購入しようかと思っています。
理由は単純で、他のICレコーダーはどれもオーバースペックで価格が高過ぎだから。

今、よく調べてみると、1万2000円くらいの製品もあるみたいですが、実際に量販店とかのICレコーダーコーナーにいくと、製品の価格帯は2〜3万円台が中心。

ローコスト製品では利益が生み出せないのか、やたらと高音質をうたった高音質機が中心で、あまり価格競争がないのが現状。モーリー・ロバートソンさんが「普通のICレコーダーでも、十分過ぎるほど高音質なラジオ番組がつくれる」と言っていたけれど、確かに音質がよく、臨場感もとてもある。
 ただ、それって会議とかインタビューの録音やボイスメモにはかなりオーバースペック気味。それよりはもうちょっと音質を落としても記憶容量が大きくて、もう少し手頃な製品が欲しいところ。
 そうやって考えるとボイスレコーダーとしてのiriverはなかなか良さそうです。

 もっともホームページで「アイリバーが誇る多彩な機能の一つに、優れたボイスレコーディング機能があります。」と唱っている割には、ボイスレコーダー機能の音声フォーマットや録音可能時間(バッテリー駆動時間)といった情報が一切ないのが不安だけれど...

 iPod用のマイクも持っているけれど、最近、なんだかiPodはごちゃごちゃいろいろつけたり外したりするよりも、純粋なプレイヤーとして使った方が潔いし気持ちもいい。
 代わりに手頃なICレコーダーとしてならIriverもありかも、と思っています。

11月 27, 2005 iPod | | コメント (2) | トラックバック (0)

羽ばたけ日本のアーティスト

APPLE LINKAGEを読んで知ったのですが、米国のiTunes Music Storeが「Music of the World: Japan」というサイトを開設したようです。

坂本龍一さんについては、今更、世界に紹介するまでもないかもしれないけれど...

これで、これまで狭い日本市場でしか活躍できなかったアーティスト達が、世界に市場を広げ、大成できたらいいですよね。

アーティストの方々には、
細かなお金の折り合いのことでいつまでもごたごたしているレーベルにいつまでも居残るべきか、自分自身の力で世界への扉を開いてみるか、検討し直してみてもいいのでは?

もちろん、これは万が一にもそんなひどいレーベルがあったら、という前提の話ですが...

自分の曲をiTunes Music Storeで売って欲しいのに、売られていない...
そんなアーティストは、ぜひレーベル側になんでそうなのかを問い正してみるべきでしょう(もちろん、PVについても)。

 まだ無名でレーベルに頼らずにはやっていけないアーティストの人も大勢いると思いますが、本当に将来のことを考えたら、少しづつ自立の準備も進めていくべきではないでしょうか。

 個人的にiTunes K.K.には、もっとインディーズ系の人を扱って欲しいと思います。彼らの中から世界的サクセスストーリーができれば、もっと自分の売り方を真剣に考えるアーティストが増えるはずです。

 今、見たらiTunes Music StoreのUSだとパフィーとかも大人気でベスト盤みたいなアルバムもちゃんと1曲0.99ドルで売っているんですよね。

でもって、日本のiTMS-Jで調べてみると、これがない。
そのうち下手をすると、日本の曲を買うにも、アメリカのストアから買った方がいいなんていう状況になりそうで心配です。

以前、海外で売られている安い日本の音楽CDを逆輸入することを禁ずる還流防止とかの動きもあったけれど、そういうことを防止する前に、まずは自分達の商品を買いやすくするように工夫することの方が大事なんじゃないかと思います。

 たっぷり儲けたいっていう気持ちはわからないでもないけれど、それよりも今ある勢いや追い風を行かして、市場そのものも活性化するという考え方もあるはず。
 日本の市場規模がどうこうという意見もあるかもしれないけれど、それは企業の論理。
 そうじゃなくって、そもそも消費者に買いやすい形で商品を提供するには、組織をどのようにするべきか、といった方向で発想していかないと...

 何はともあれ、「Music of the World: Japan」が良い成果を出すことを祈っています。

11月 27, 2005 音楽 | | コメント (3) | トラックバック (0)

ウォークマンAとiPod、裏対決

今や一歩外に出ると、どこへいっても「ウォークマンA」の広告だらけ。
渋谷では駅ビルを「ウォークマンA」の巨大広告が占拠し、公園通りは新iPod...

両機の話題はそこかしこのPC系ニュースでも取り上げられている。
PC WATCHの「週刊デバイス・バイキング」も「ウォークマンA」の紹介記事のところどころで、iPodとの比較を行っている。

ウォークマンAを、iPodシリーズと一緒に並べて撮った写真もあるわけだけれど、
この記事で残念な箇所が一点。

それは一緒に並べた写真の中に、本体を裏返して並べた写真がなかったこと。

アップルの製品はスティーブ・ジョブズの不在期間につくられたものも含めて裏面まで徹底的にこだわっていた(ジョブズが戻ってきてからはなおさらそう)。「Cult of Mac日本語版(*1)」でも紹介されている「極私的2400c頁」の「特選!大人の裏画像!!コーナー」を見れば一目瞭然。

今の時代、表面がかっこいいのは当たり前(でも、コテコテの装飾的かっこよさが果たしていいかは意見がわかれそうだけれど)。それだけに裏返しただけですぐにボロが出るようなチープでユーザーをバカにしたデザインかどうかが問題になると思う。

 「ウォークマンA」の裏面デザインがそれほどかっこわるいかと言うと、他のガジェットと比べれば、悪くはないけれど...

 ぜひとも同じPC WATCHの2つの写真で比較してみてください:
ビデオiPodの記事にあった「ビデオiPod」の背面写真
「ウォークマンA」の背面写真

「充電式電池は協力店へ」、そして「高温になる場所には放置しないでください」...だそうです。

ついでにACアダプターとヘッドホン写真も必見!(Walkman Aの場合iPodの場合

ソニーのデザイナーが悪いとは思いませんが、大企業向け製品開発のツライところですよね...

*1)この本の関係者なので、アソシエイトIDを入れるのは気が引けてしまいました...気にしすぎ?(笑)。他のヒトはどうしているんだろう。

11月 27, 2005 iPod | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005.11.09

月額525円でISP&電話不要!?

サービス開始時期が2度にわたり延期されたライブドアの公衆無線LANサービス。
こちらの記事で、とりあえず工事が順調に進んでいることを知りほっと安心。
月額525円でエリアは“面”展開 電柱・PHS設備・自販機を活用

ところで、このサービス、どうしても「モバイル用途」というコンテクストで捕らえられがちだけれど、山手線の内側に住んでいる人の固定接続のインフラとしてはどうなのだろう?
実は以前、MIS(モバイル・インターネット・サービス)という会社が同様の面型無線LANサービスを開発していた時も同様の議論があった。

あまり大容量のデーターのやりとりをしない人や、あまり電話を使わない人なら、月額525円で電話インフラとISPを同時に手に入れられることになる。

もっとも、日本だと特定ISPを使っていないとダイアルインの電話番号がもらいにくいので、電話は発信専用。
ただし、いずれどこかそういうサービスが出てきたら(SkypeInに期待)、もはや固定電話も不要になるだろう。
音声コンテンツ(Podcast)のインフラも、映像番組(ビデオPodcsat)のインフラも、すべてこの525円で賄えてしまう。
おまけにノート型パソコンのユーザーなら、このインフラごと山手線内を自由に移動できてしまうのだからすごいことだ。

11月 9, 2005 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.11.03

日本のブロードバンドを切り開いた「スピードネット」が終了

仕事に追われてぜんぜん余裕がありません。
Blogも全然更新していないように見えますが...
取材などで外出がある日はFlickrを...
そうでない日もこのブログの右側に表示されているdel.icio.usは頻繁に更新しているので、チェックしてみてください。

久々に、「これは書かなければ」と思ったのがITmediaで見つけたこのニュースです:
ITmedia:「スピードネットがサービス終了

私はスピードネットのユーザーではないけれど、このサービスが日本のブロードバンド時代を切り開いたと今でも信じています。

サービスが発表された当時の日本は、まだ電話回線を使ったダイアルアップ接続の時代でした。
米国だと、そもそも同じ市外局番だと通話料定額が当たり前なので、インターネット普及とともに電話回線を1つ増やして、一方の電話をAOLにつなぎっぱなしにする人が増えたーーそんな時代でした(これでAOLは、しばらく回線増強に大変苦労したようです)。

NTTは「日本はISDNが普及しているから、そのISDNと干渉するADSLは利用できない」と断言していました。

それでも、「これからの時代、インターネットは重要」と、良心的な価格で接続サービスを提供するプロバイダーもいくつか登場していました。でも、どんなにプロバイダーが頑張っても、結局、電話線に頼る以上、最後の最後でNTTの回線に頼らなければならない。
 3分10円、1時間で200円、24時間で4800円、当時の日本での常時接続の値段は1ヶ月で14万4000円+プロバイダー代だったのです(もっとも、OCNエコノミーなど安価な専用線は出始めていましたが、やはり毎月数万円はかかりました)。これは一般家庭ではおよそ受け入れられません。
ADSLの夢も断たれていた以上、日本の常時接続は絶望的でした。

そんな中、スピードネットでは無線技術を使って、NTT回線をバイパスし、毎月数千円で常時接続を実現する、という大胆なサービスを提案していました。
電柱と近隣家庭のベランダなどに通信装置を置くことで、NTT回線を一切使わないインターネット接続を確立する。
 これによって、ついに待望の完全定額の常時接続が実現する、という夢のサービスだったのです。
 ソフトバンクや東京電力の他に、マイクロソフトとかも参加していました。「このサービスの発表でようやく日本にも未来が拓けた」と感動し、結構、たくさん記事を書いたのを覚えています。

 NTTが頑張っていろいろサービスを始めたのも、このスピードネットの発表の後からだったと思います。
 実はどっちが先か、調べないと自信がありませんが、もし記憶が定かだったら、「テレホーダイ」というサービスがでてきたのも、このスピードネットの発表の後だったような気がしています(今、調べている時間がないので、後で調べてコメントでフォローします)。
 テレホーダイというのは夜11時から翌朝の何時かまでISDNを含む電話回線が定額になるサービスです。それ以前は「定額制はできない」と断言していたNTTが「深夜帯の回線がすいている時間ならOK」と手のひらを返したような発言で始めたサービスでした(NTTはその後、他社のADSLサービスが広がり始めると、再び手のひらを返して自らADSLサービスを始めます)。

スピードネットの初期の構想では、学校などの教育機関にも積極的に「夢のブロードバンド環境」を導入していく予定でした。しかし、その後、ワイヤレス通信が思ったほどうまくいかなかったりとか、NTTが予想以上にがんばったこと、そしてADSLが台頭し始めてきたことなどを受けて、スピードネットは期待していたほどの成功を収めることはありませんでした。

 今、スピードネットと同じ電柱に取り付けた無線装置で、ライブドアなどが公衆無線LANの面サービスに取り組んでいるニュースを聞くと感慨深いものがあります。

 スピードネットの登場までは、私もNTTが提示したものを、「それが答え」と受け止めて、そのまま報じていた気がします。しかし、スピードネット発表以来は、(私自身も含めて)日本の多くのマスコミが「日本にブロードバンドを普及させるには、ここで頑張らなければ」とかなり奮闘、努力したんじゃないかと思いますーー私はそうでした。

 スピードネットの後も、ソネット(その後の東京めたりっく通信)などのADSL事業者の活躍を世に伝え、ブロードバンドの必要性を説き、(NTTの言っていることに反して)実現可能な技術やサービスが世の中ではつくられているんだ、ということをかなり頑張って取材し伝えてきたと思っています。
 今やブロードバンド大国となった日本ですが、その実現の中ではこうした日本のマスコミの活躍も少なからず評価されていいと思います。
 英国やらフランスやらのマスコミは、同じ時期、「どうせウチの国は何をいっても無理」的な態度で、あまりそういったことが報じられていなかったと思います(イタリア辺りに、それなりにおもしろい構想を持っているプロバイダーはいくつかあったような気がするのですが...思い出せません)。今の両国でのインターネットの遅れの原因はそこいらへんにもあるんじゃないかと思います(もっとも、「インターネット環境が遅れている方が人間幸せに生きられるのかも」という気もしないでもないですが)

 世の中には素晴らしいものをつくりだそうと奮闘している人が大勢います。でも、彼らが必ずしも成功できるとは限りません。
 中には時の経済情勢が悪かったり、たまたまタイミングが悪かったり、あるいはモノはよくてもとんでもなくマーケティングが下手だったりといったツマラナイ理由で、失敗に終わってしまう努力も少なくありません。
 私が雑誌とかに記事を書いていこうと思った動機も、そういった努力を1つでも多く取り上げ、伝えていきたいから。

 「スピードネット、サービス終了」のニュースは、そんな初心を、そしてADSLが普及するまで、Macの記事と同じくらいの情熱で、ブロードバンドの記事を書きつづけていた日々を思い出させてくれました。

 サービス終了は残念ですが、感謝の意とともに、彼らがやってきたことにはそれなりに大きな意義があったことを伝えられればとこの記事を書きました。

11月 3, 2005 パソコン・インターネット | | コメント (2) | トラックバック (0)