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2008.02.22

教えることは学ぶこと。与えないことは教えること。

Oohori Park

 今週は外村仁さんと一緒に九州大学で講演をして以降、今朝の3時くらいまで、非常に濃密な時間が続いた。1日できるメールチェックも3〜4回が限度で、帰るとホテルのベッドに倒れ込む日々。実は今もまだ目の焦点がなかなかあわないくらい疲れている。

 「iPhoneショック」や「スティーブ・ジョブズ〜偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡」といった本のおかげで、最近は講演や紙、音、映像媒体に執筆以外の形で露出することも増えた。

 おそれ多くも講演をする機会も増えた。
 これまでいくつか行ってきた講演を通して、つくづく思うのが教えることは、教わることでもある
ということ。それも非常に多層的に自分のためになるのだ。

 まず、教えるためには、ある程度、自分の考えをまとめ、資料を集め、構成を組み立てなければならないので、自分の手元に重要な情報の山ができあがる。これだけでも非常に重要な資産だ。

 もし、あなたに興味はあるけれど、苦手なトピックがあれば、社内勉強会などで、あえて講演者を買って出るのもいいかもしれない。

 先日、取材しCNet Japanに記事を書いたデブサミで、あまのりょー氏が、社内勉強会や社内ライトニングトークについて、話していたが、これは非常にいい試みだと思う。同氏の会社では、ちゃんと予算枠も用意しているということだが、予算だけでなく、社員が講演用の下調べをする時間なども認めてあげるといいかもしれない。
 
10人のエンジニアが見せた開発者コミュニケーションの最前線--「コミュニケーション 2.0」:ニュース - CNET Japan

Mt.Fuji?

 講演を行うことの2次的なメリットは、聴衆の反応を見たり、質問を受けることで、さらに「なるほど、そういう視点もあったか」、「たしかに、そこは重要なポイントだ」といったことを学べることだ(そして次の講演で生かすことができる)。
 そして講演をすることによって、いろいろな方と出会い、交流が広まることも大きい。

 もし、上にあげたような社内勉強会での講演が実現できたら、社内の人だけを相手に行うのではなく、興味のある外部の人に公開してみるのも面白いかもしれない。


さて、話は全然変わるが、最近、いろいろなところで話にあがるのが、
ベンチャーに最初からたくさんのお金を与えるべきか否かの話。

 最近、アメリカでは、「最初からあまりお金を受けない方がいい」という考え方が主流派。
 その「こころ」は、以前に書いたTwitter創業者の話を読むとわかりやすい:
CNet Japan:ティム・オライリーとTwitter創業者が振り返る「失敗」つづきの道のり


伊藤穣一氏も、THE NEW CONTEXT CONFERENCEの2回目くらいから、熱心にそれを説いている。
そちらの講演の内容は、このCreative Commons公開されている本で読むことができる:

WEB2.0の未来 ザ・シェアリングエコノミー WEB2.0への道 3
WEB2.0の未来 ザ・シェアリングエコノミー WEB2.0への道 3伊藤 穰一 デジタルガレージグループ


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「iPhoneショック」の中で、日本のケータイづくりはキャリア主導なので、
メーカーが本来、気にするべき「ユーザー」に目を向けず、
どちらかといえば「キャリア」の方を向き、キャリアに気に入られる製品作りを考えてしてしまっていて、それが問題だ、と書いた。


それと同じ構図は日本の(政治の)そこかしこにある。

例えばNPOやNGOの扱いもしかりだ。
じっくり話しを見ると、本来の目指していた目的よりも
政府関連機関からもらえるお金をいかに引き出すかばかりに
目が向くようになところが増えていたりしてガッカリすることがある。

 
 そうではなく、いい仕事をすれば、ちゃんとそれを見つけてくれる企業がいて、
営利目的だったり、税金控除が目当てで、お金を投入する、という流れが、もっと活気づけばいいのだけれど...

何か政府系の人達が、アクションを起こすと、余計なところまで世話を焼きすぎて、
ものごとをダメにしてしまうことが多い気がする。

時には無駄に与えないことこそが、(そして、それによって苦労してもらうことこそが)
一番、多くを授けることにつながる、とも思うのだが...


でも、役人なのか、公務員なのか、政治家なのか、そういうことをぜんぜんわかっていない人が多すぎるような気がする。

最近では、「クールジャパン」というメッキがはがれ、日本が(特に日本の政治が)こういうことばかり、繰り返すダメな国ということが世界にバレ始めており、それが日本の経済にも深刻な影響を与えそうで心配だ。
 デブサミでは、サイボズウラボの秋元さんが、日本のクールな情報を発信している英語ブログをたくさん紹介してくれたが、実はその一方で、最近ではマスコミも伝えない日本のダメっぷりを世界に発信しているブログも多い。
 ブログが広まった今の世の中は、何か「嘘」とか「建前」のことをやっても、すぐにメッキがはがされてしまう時代。
 すべての人が、全力で、真剣に腹の底から話をして、行動をおこさなければならない時代に入りつつあるのに、未だに日本の政治は、どこか関係のないところで、まるで外の世界なんかないかのように空回りを続けている印象がある。


Japanese Garden@Ohori Park

寄付と言えば、「私はお金のために仕事をしているのではない」と主張するスティーブ・ジョブズが年間1ドルしか給料を受け取っていないのは有名な話だが、
それ以上にすごいのが、ブログも人気の元マイクロソフト社の古川享さんだ。伝記を出して欲しい日本人No.1だ(九大、坂本さんの奥様、いかがでしょう?)

マイクロソフト社入社前、アスキーに長い間、貢献してきた古川氏は、マイクロソフトに移る前に、アスキーにも十分、貢献したしと公開直前のアスキー株のオファーを受けるのだが、それを潔しとせずに断ってしまう(数十だか数百億円にはなったはずの株式だ)。

伊藤穣一さんが、よくクリエイティブコモンズの話をするときに言う「要するに、それが受け入れられるか、気持ちが悪いかという問題」だ。

私が気持ちが悪い問題と言えば、自著のアフィリエイトで儲けてしまうことには(他の人がやる分にはぜんぜん問題ないけれど、)自分がやることだけに関しては、なぜか気持ちが悪いものを感じてしまう。
 アメリカ人の友人に「本の印税よりもアフィリエイトの収入の方が大きいって本当か?」と聞かれて(それはおそらくアメリカだけの話)、「へ?」っと一瞬後悔したが(笑)。この記事でも、やはり、入れる気にはなれなかった。

 ところが困ったことにAmazonでは、他の本の紹介でamazonに行った人でも、つづけて私の本を購入してしまうと、その分のアフィリエイトが私に入ってしまう。

 こんな、あまり更新もしていないブログなので、たいした額ではなく、まだ数百円のレベルだが、これはいずれある程度、まとまったら好きなNPO/NGOの寄付に使わせてもらおうと思う。

 別に聖人ぶるつもりはなく、まさに「気持ち悪い」の問題。
 その証拠に、最後にはちゃっかりとセミナーの宣伝をさせてもらおう。

最後にちょっとだけ、来月の講演の宣伝です。
安くはないセミナーなので会社の「予算」で参加できる人限定で。

3月18日:~2008から2009年、携帯市場は激動する~
「iPhone+Androidの衝撃」にどう立ち向かうか?


P.S.中程の日本のメッキがハガれるという話では、池田信夫さんのブログの、この記事は読んでおきたい。「なぜ日本は失敗し続けるのか」。時折、論調が攻撃的過ぎたり、否定的過ぎたりするため、若手ブロガーの間では不人気な同氏のブログだが、私はたまに読めるこういう記事のためにRSS購読をしている。

2月 22, 2008 opinion |

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