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2008.12.31

Switching Off 2008

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そろそろ2008年が終わり、2009年が始まる。
ascii.jpの記事「林信行が語る「2008年、知っておくべき10のトレンド」(後編)の1位では
今年後半の私の講演のキーワード「Web 2.0 in your pocket.」を取り上げさせてもらった。

Web 2.0 in your pocket.とは、
これまでのパソコン時代のWeb 2.0のように
1日中、パソコンの前にしがみついていないでも、
外出先や散歩中、友達と過ぎている楽しい時間に、サっとポケットから取り出して使えるWeb 2.0。
iPhoneやAndroidといった、パソコン並みのWebブラウザを持つデバイスの登場で可能になり、
Web 2.0の情報が実際のアクションを起こす場で、活用できるようになる、という発想だ。

私は、1日中パソコンの前に張り付いていたことで病み始めた人々の心や
便利さを人生を豊かにする方向ではなく、より仕事を密にする方向への過って舵取りしてきた
これまでのやり方を改め、ワークライフバランスをまともな方向に軌道修正してくれる秘策ではないかと思って講演をしてきた。

ただし、今回の記事で、いつもの講演とちょと違うのは、先日、得たあるき「気づき」を書き添えたこと。
それは、下手をすると1日中、その前に座って無為な時間を過ごしかねない、パソコン上のWebと違って、Web 2.0 in your pocketは、必要な情報を調べた後、さっと画面を消して、再びまたポケットにしまえることだ。

これこそが人間性回復の一番の秘策ではないか、という気がしている。

a wall in a tunnel in amsterdam

インターネットの広がりで、国を超え、時差を超え、さまざまな趣味の人、
さまざまな価値観の人が集えるようになった、それはそれで素晴らしいことだ。

これまでにはできなかったような議論が巻き起こり、
一部の活動的なブロガーは、思考停止状態に陥ったマスコミを超えるような発言で世の中に影響も与え始めた。これも素晴らしいことだ。

しかし、その一方で、これまでのインターネット上に築かれた文化は、
ただ言葉がうまい人達の、「言葉ゲーム」に終始してしまっている一面もある。

はてなブックマークやソーシャルブックマークや掲示板で、何かがワーっと盛り上がることがある。
それに対して、嫌なことを言われた方も、目を吊り上げて反論して喧嘩が始まる。
通りすがりの責任を追わない、言いっぱなしの輩に、汚い言葉のコメントだけを残されたら悔しいのは私も同じだ。

でも、私はその一方で、はてなブックマークが、そういった汚いコメントをうまく巻き取ってくれるおかげで、ブログのコメント欄で建設的な話し合いができていると思っているし、汚い書き込みであろうとなんであろうと、盛り上がってくれることでブログのビューも増え、中にはそのコメントがきっかけで、私に同意する人が読みにきてくれることもあるんじゃないかとも感じている。

私は「はてブ」には感謝している。
何よりも便利に感じるのが、そうした汚い言葉のコメントがきれいに「はてブ」に、
巻き取られてくれるおかげで、そうした世界をワンクリックでoffにして視界から消すことができることだろう。


汚いコメントについて、もう少し書くと、
窓割れ理論というものがある、落書きが多い地域では、
だんだんと犯罪の規模がエスカレートしていくという理論だ。
それと同じで、これらのソーシャルブックマークや掲示板は、
誰かがおもしろ半分でした、汚い言葉が、どんどんエスカレートして今の状態になってしまっている。
中には知的な発言も確かにあるが、こうした「言葉 対 言葉」の論戦は、
相手を論破するための論理や、自分を正当化するための言い訳などになりがち。
私流の言葉で言わせてもらえれば「左脳でっかち」な議論になりがちだ。

その会話の中にいる間は、いかにもそれが重要な話しのような気がしてならないが、
でも、リアルの世界にいる人にとっては「ふーん。大変だね。それよりも今晩の食事何にする?」とかの方が、案外重要な議論だったりする。

戦争をしている国の国民は真剣そのものだろうが、他の国でそのニュースを見ている人達は
「あの人達は、いったいなんで、あんな戦って、大事な命を落としているの」と思っているのに近い感覚だろうか。


2008年は、インターネットでの誹謗中傷にショックを受けて、命を落とすような悲しい事件が世界中で巻き起こった。
でも、インターネットに書かれている大抵の無責任な発言は、ボタンのクリック一つで消せるほど内容も軽ければ、存在としても希薄だということを思い出して欲しい。


実はWeb 2.0 in your pocket.は、それを実感させてくれるメディアだ。
先日、元経産省でウェブを変える10の破壊的トレンドの著者である渡辺弘美さんが、有識者を集めての「ネットの未来を考える会」を開いた。

この「offにできることの重要さ」は、その会で、他の人達と話しを交えているときに気がついた。

同会では徳力さんに、でも「ネットでの誹謗中傷が、本当にそれで消えると思います?」と聞かれたが、私は消えないまでも、かなり薄らぐんじゃないかと思う。

確かにWeb 2.0 in your pocketの時代になっても、
ネットでの誹謗中傷などの書き込みが止むことはないだろう。
それどころか、ポケットから取り出して、簡単に誹謗中傷を書き込むこともできれば、
読むこともできてしまう。

スペックシート的左脳的な発想で言えば、確かに
Web 2.0 in your pocket :
インターネットの誹謗中傷対応: ◎
となる。

でも、ある時、読み手が「う〜ん、なんかずっと気になっていたけれど、だんだん、面倒くさくなってきた」と気づくようになる。

そして、ポケットから取り出した小さな画面の中での戯れ言に気を取られるよりも、
自分の周りにあるきれいな景色であるとか、友達との楽しいひとときに集中した方が、
よっぽどいい人生が過ごせる、と気がつくようになる。

最近の大きなパソコン画面に向かっていると、視界のかなりの部分がパソコンの画面で覆われてしまうが、
Web 2.0 in your pocket.の小さな画面は、身の回りに広がる大きな風景の中の小さな画面に過ぎない、という点も、この小さな変化が、我々のワークライフバランスや、これまでのインターネットの歪みをちょっとずつ取り払ってくれるんじゃないかという希望を抱かせる。

Wordy(言葉過多)で左脳的なインターネット文化は徐行して、
これからは1に生活、2がインターネットという文化に変えていきたい。
(それを訴える記事にしては、かなりwordyだが... 2009年は、もっと粋な人間を目指したい)


こんな形で、2008年のnobilog2を締めくくれればと思う。

お正月は、このブログを読んでいない人達の年賀状に、
少しだけ返信した後、1月4日にはサンフランシスコに向けて出発し、14日に帰国する。

それではみなさん、よいお年を!

Aoshima shrine

12月 31, 2008 |

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コメント

明けましておめでとう御座います。本年もよろしくお願いいたします。

今年の標語は「iPhone持って、出かけよう!」かもしれませんね。

残念な事にJobsの健康状態悪化のニュースも飛び込んできた年末ですが、
今年もAppleには素晴らしい作品をたくさん発表してもらいたいと思っています。

SF、お身体に気をつけていってらっしゃいませ。
きっと又、何か画期的で、新しくて、素晴らしい物を発見なさると思います。

その時は、ブログで紹介して下さい。
ではでは。

投稿: Harry J | 2009.01.01 08:21

Harry Jさま、

あけましておめでとうございます。
いつも暖かいコメントありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。

五反田、1月はいけそうにありませんが、
月例のブログディナーがあるので、2月以降はまた毎月第1水曜日に行く予定です!
どこかで会いましょう。

投稿: nobi | 2009.01.01 11:26

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